「麻雀は人生の縮図です」

と、誰かが言ったかもしれないし、誰も言ってないかもしれない。

先日のこと、ある省庁で働く友人に連れられて、
庁内を社会化見学よろしく一回りしたのです。

一通り見終わった後、友人が、

「ここは本当は内緒なんだけど・・」

と、ややぎこちない様子で私を通してくれたのは、地下3F。
そこは、ある種異様な雰囲気に包まれた娯楽場のようでした。

そこの庁内で働く人間のストレスの発散場とでも申しましょうか、
ワンフロアぶち抜きで、入り口付近には物々しい警備と入場チェックがあり、
左奥の隅にはカジノばりのトランプテーブルが設置されている。
さらに、そこから右のほうへ視線をずらせば、全自動麻雀卓が数台。
残りのスペースでは、小役人どもが泥のように駄弁っている。
ようは、歓談の場とでもいうやつか。

金の話、女の話、食い物の話、俗に塗れた奴らは、昼間っから仕事もせずに
酒をあおり、肉を貪り食いながら下品な笑い声をあげている。

「あぁ、なんだこれは。こんなことが許されるのか。」
「税金の無駄遣いだ・・」

と、思いつつも誘われるまま麻雀卓に座り込む私。
面子を見ると、友人の他に、しょぼくれたオヤジ風と
何を気取ったかスーツにサングラスを合わせたなりきりギャンブラーが座っている。
しかし、どんな奴であれ、ここにいるってことは役人には違いないのだ。

「ここのルールは普通のとちょっと違うんだよ」

と友人に説明を受けるが、どうも遊びとしても麻雀というよりは
単純に金をやり取りするためだけのゲームのように成り下がっているようだ。

どうやら、ここでは1局ごとの清算で、それぞれ1局毎にレートが違うらしい。
何でも配牌が配られた後、皆で審議するらしいのよ。何を?レートを。
つまり、ポーカーの掛け金UPの心理戦みたいなものなのだ。

しかし、ポーカーと違うのは降りることができないこと。
上がれば上がるほど、しょぼい配牌の人は悲しいだけ。

あとは普段どおりのルールらしい。
ま、とりあえず1局やってみようか、と卓のスタートボタンを押すと、
通いなれた雀荘が如く、牌があがってくる。

「素晴らしい牌牌だ!」
「こりゃ、いけるぞ。払った税金を還付させてやる!」

心躍った私は、はやる気持ちを抑えつつ、提言した。

「1000点1000円で如何でしょうか?」

「おっと、なかなかいい感じらしいね」
「怖い怖い」
ショボクレ親父が口を開く。

「あひゃー、レイズしちゃうぜ、2000円」
勘違いギャンブラーは、頭まで勘違いらしい。

「まぁ最初だし、優しく行こうか。じゃ1000点2000円ってことで決定ね」
友人が取りまとめて東1局がスタートした。

いきなりの親番だ。局が進むうち、迷うことなく聴牌まで漕ぎ着けた私は、
高らかにリーチを宣言する。観て欲しいこの素晴らしき手牌を。

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程なくして、勘違いから当たり牌が出た。

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安めだが、この際文句は言えまい。

「リーチピンフリャンペーコドラドラ、跳ねたな」

き、決まった・・ 格好よすぎる、俺。











「待て待て、なんかおかしいぞ」
と、勘違いが言う。

「この素晴らしいアガリにケチをつける気か、不届き者め」
「さっさと払えこの野郎」

と思ったのも束の間、背筋が凍った。
親父と勘違いはおろか、友人までもがニヤニヤしてる。

そう。

よく観れば分かるが、この手配は張ってない。
頭がないのだ。

なんだこれは。なぜこんな理不尽なことが起こる。
俺のせいなのか?お前のせいだ!
しかも親なんだぞ。チョンボは4000ALL払いだ・・
つーか、1000点2000円のレートなんだぞ。
あり得ん、あり得ん、あり得ん。

と、自我崩壊の序章が始まりそうな場面で、

目が覚めた。
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by chikara_mikado | 2006-11-12 14:39 | ヨミモノ
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