ある温泉町の国際映画祭 その2

カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭に参加した記憶の欠片を投げ貼りつけ中です。

2日目。
今日も肌寒い。曇ってるし。
朝は人も疎ら。

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ちょっとここで街とか祭りとかの説明なんぞを。
気の短い人は飛ばしたらいいよ。

カルロヴィ・ヴァリ(長ったらしいので以下KV)って都市は・・・

・チェコの西北部位置する人口5万人ほどの小さな都市。
・ゲーテやベートーヴェン、ショパンなどが愛した温泉街。
・温泉は浸かるためのものより、飲むほうが多い。

K.V国際映画祭は・・・

・国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の長編映画祭として、
カンヌ・ヴェネチア・ベルリン・ロカルノ・モスクワに続き、
世界十二大映画祭(A-festivals)に名を連ねている。
・歴史が古く1946年の第1回から今年2007年で第42回となる。

中身っつか雰囲気は・・・

・59カ国から約260作品が集結
・1万人以上の観客も集結(含む映画関係者、学生)
・大小合わせて9つの上映施設、13つの上映会場が街中に散らばっている。
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・地図の端から端で大体2.5㎞くらい。

・ちゃんとした映画館もあれば、ホテルのグランドフロアに椅子並べて
でっかいスクリーン置いたとことかもある。
GrandHotel PUPP(プップ。ふざけた名前だが、めちゃくちゃ奇麗なホテル。
MI3の撮影で使われてた。)の会場はこんなん。
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・上映スケジュールもそれぞれの会場で異なり、観客は自分の観たい作品の時間と場所を
調べ、お目当ての会場へぞろぞろと好き勝手に歩いて行くのです。
・一応無料のバスが劇場の前を一回りするコースで走っているのですが、
時間がバッチリ合うことは稀。
・KINOの次がRICHMONDだったりすると結構本気で凹む。

もちっと踏み込んだ雰囲気・・・

・観客層というか映画祭に参加する人間は大きく分けて3つ。
一般のお客さん、プレス(記者)、フィルムインダストリー(映画産業関係者)
・夏休みに入る頃ということもあって、学生の数はかなりのもの。
寝袋に潜り込んで公園で夜を明かすとか日常茶飯事。

・僕は映画産業で登録しました、5日間で1500CZK(約9000円)。
・Czech-Japan Film Festivalの関係者として登録しておいたら、
公式の冊子に自分の名を発見。3ミリ口元が緩む。

フィルムインダストリーって・・・

・毎日最優先の入場チケットが4枚貰えます。
・券持ってなくても並んでる人を尻目に上映会場にひょいひょいっと入れてくれます。
・そして、プレスルーム/インダストリーセンターと呼ばれる情報室に入り浸り放題です。
・ちょこちょこ何らかの招待状が届く。

CZKというのは通貨単位:チェコクラウンの略字ですが、
2000年頃は、1CZK=約3円
2006年には、1CZK=約5円
そして今年は、1CZK=約6円
価値が毎年どんどん上がっております。
EUに加盟したことって関係あるかも。
2010年からEUROに切り替え開始の予定。


というわけで、長すぎる前置きをやっと終え、
6月30日(土)のことを。

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この日観たのは、以下の4本。

・Pingpong

実際に I can fly してしまった人の映画ではないです。
一瞬、それか!?と思ったものの、よく見ると from ドイツ。
一本目だし、目に留まったのも何かの縁だということでリスト入り。

ポールは16歳。
親父が自殺して以来、母親と二人だけの家に居場所を見つけられない。
夏休みの間だけ従兄の家に逃げるように転がり込む。
久しぶりに訪れたの彼ら家では、微妙な歓迎をされる。
慣れてくるうち、その従兄の母親に性的な興味を抱いた彼は、少しずつ行動を起こす。
状況を自分がうまくコントロールしていると思っていた少年は、
実はその母親に嵌められているということに気づく。
怒ったポールは、いとこの母親の大事なモノを・・

思春期の少年の葛藤と行動を痛々生々しく観せつけられた。

末吉を引いた気分。


・異聞猿飛佐助

遠い異国に来て、なんでまた邦画を観るのかといいますと、
日本の映画を観ている海外の観客どもの反応を観察したいと。
そう思ったわけなんです。

「オゥ、ニンジャー」
「ムム、サムライ・・?」

隣のオッチャンは、ちょっと嬉しそうに呟いていた。
でもきっと彼には区別が付いていないだろう。

この作品は、篠田正浩監督が1965年に撮ったもので、
テーマはタイトルからしてわかるように関ヶ原の合戦が終わった直後の
混乱時に活躍した諜報・間者達に焦点をあてている。

だけど、聞いてくださいよ。外国の観客にですよ、
徳川と豊臣の戦が~とか、天下分け目の大決戦ののち~とか、
真田は両方の出方を伺っていたっ、などと分かるわけがありますまい。

しかも説明の人、超早口。
字幕も超早出し。無理。

皆さん、背景をろくに理解できず、単なる忍者アクションとして楽しんでいたご様子。
でも、あまりに予定調和な展開に、たびたび零れる苦笑。

ここでこの映画やる意味あんのかな、と思いつつまた末吉を引いたような気が。

でも篠田監督はカウロヴィ・ヴァリにいらしていたらしい。
僕は1日早く街を出たので、レセプションには参加できなかったけれど。


・Rozpominani

題名からして不詳。
チェコのドキュメンタリー作品だそうで。

紹介文には、とても簡潔に説明が載っていた。

チェコ人は幸せ?
彼らの考え方は?
彼らの価値観は?
彼らの興味は?
政治への関わり方は?

この作品で貴方のその疑問を解決します。

だって。

結構期待して観たんだけど、質問対象者が偏っていた。
プラハを歩いてる人々が中心なはずなのに、社会的弱者とか
イカレポンチな若者とか病院に入院中の老人とか、
マイノリティーな人達の考え方が目立つように作られてた気がする。

だから多くの人が、

「幸せなんかじゃない、人生に疲れている。」

みたいなことを口にしてた。


登場した若い女の子は、クラブで中指立ててセックスセックス叫んでたし。
日本の女子高生は全員援助交際してますって説明された気分になったわけだ。

結構な自虐っぷり。

プラハのことを知らない人が観たら結構印象が偏るよなぁ、などと考えていたら、
上映の後、監督が出てきて観客とのディスカッション始まった。

始まって2分で激しい論争に。
つか、最初の質問した人がいきなり喧嘩売ってた。

「私はどうやら時間を無駄に過ごしてしまったようだ。
貴方の作品は捻じ曲げた事実を観客に伝えようとしている。
それはドキュメンタリーとは呼べない。どう思うか?」

監督も買っちゃって、

「君は自分で何か撮ったことがあるのかな?
この人達(質問に答える一般の人々)が嘘をついているとでも?
これもまた事実の一つなんだよ。そこがわかっていないようだね。」

この辺までは、通訳のお姉さんがチェコ語から英語に直してくれたから、
なんとか会話を拾えてたんだけど、そのうち熱くなった観客たちと監督は
お姉さんを無視してチェコ語でギャーギャー始めた。

それでも、割って入るように一言だけ英語に通訳したりしている孤軍奮闘の
お姉さんを見るたびに、

「負けるな!頑張れ!」

と思っていたのは僕だけじゃないはず。

観客派、監督派、お姉さん派に分かれてこの討論は1時間くらい続いた。
白熱した朝まで生テレビみたいになってた。

これは中吉。映画は凶だったけど、討論が大吉、故に。


・The Hottest Sttate

アメリカの映画。
イーサン・ホーク監督
つまんなかった。

夜の10時から上演だったのだけれど、映写機の担当者がうつらうつらしたのか、
一本目のフィルム切り替えのとき、カラカラカラという音ともに画面が灰色に。

おいおい、どこの浅草下町劇場だよ。

ここで、一個説明せにゃいかんのだけど、
この映画祭に限らずどこもそうだと思うけど、字幕は2つ。
英語とその国の言葉。
ドイツの映画なら英語の字幕とチェコ語の字幕といった具合。

でも、フィルムに2つとも載せるのはちょっと無理なので、
スクリーンの下に電光掲示板みたいので、チェコ語字幕がパッパッパと表示されていく。
英語字幕はフィルムに乗ってることが多い。

カラカラカラという音ともに画面は消え去っても、チェコ語の電光字幕は進んでいく。


さぁ、フィルムのセットが完了し続きが始まったぞ!

はい。

セリフとチェコ語字幕があってません。
どこの素人映画祭じゃぁぁぁぁ。

というところが、一番の盛り上がりポイントでして。
それ以外はあんまし覚えていない。

凶。






えーと、全体的に大外れの日でした。
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by chikara_mikado | 2007-07-20 21:24 | チェコのこと
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