アコーディオンおじさんとシェパード。

チェコに来たことがある人は、一度は見たことがあるかもしれない。
覚えてなくても彼の前を通り過ぎたことがあるだろう。
視界の隅っこに捕らえたことは間違いない。

チェコの首都、プラハ。
その中心は、地下鉄のMustek(ムーステク)周辺。

日本で言うところの、うーん・・

銀座?渋谷?六本木?

駅の周りを歩いている人のうち、半分以上は観光客だ。
開けた広場に、ホテルやブティック、高級レストランやらが立ち並ぶ。

この辺の盛り場エリアはわりと小さく、歩いても回れないことはない。
端から端で、1時間もあればいけるだろうか。

さてさて、そのムーステクから歩いて5分のところに、
「TESCO」というイギリス資本の大きなスーパーマーケットがあります。

先日、ゲバラ夫妻とお会いしたあのTESCOですね。
最寄り駅は、Mustekのお隣のNarodni trida(ナーロドニィー トゥシダ)。

MustekからNarodni tridaは歩いて5分の距離。
そして、そのTESCOへの道すがらに彼はいる。
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CHICAGOと書かれたビルの前で、
毎日朝から晩まで隣に愛犬シェパードを横たえ、
アコーディオンを弾き、唄を歌う。
そんなサングラスおじさんがいるのです。

雨の日も風の日も毎日毎日。
朝、前を通ったら歌ってた。
夜、帰る時、まだ歌ってた。

シェパードは、いつまでも横で寝ている。
朝も昼も夜も寝ている。


ある日、夜7時58分に彼の前を通りかかったら、徐にアコーディオンをたたみだした。
歌ってる以外の彼の姿を観たのは、過去の記憶を思い起こしても初めてだ!

僕はこれまでに3回、合計で3か月ほど、チェコに滞在したことがあった。
恐らく20、30回は彼を観たことがある。

サングラスがね、たまに変わってるときがあるのよ。
ただ、人間らしい動作をしているのは初めて。

少しばかり興奮した僕は、ササッと建物の蔭に隠れて様子を伺った。

犬が立ちあがった。
奴も流石に足が痺れているみたいだ。

ちょっとつらそうだ。
あ、またしゃがみ込んだ。

そらそうだわな、10時間は寝っぱなし。
トイレとかどうしてるんだろ。
つか、おじさん。
10時間立ちっぱなし?歌いっぱなし?

数ある疑問が頭をめぐるが、おじさんはゆっくりと車道の方に歩み寄る。

え!?

まさか、車っすか。

カテゴリーに分けるとすれば、犬とアコーディオンを餌に
物乞いしてるって言われてもしょうがない部類なのに、車っすか。

犬用のマットを叩きに行っただけだった。
結構律義。歩道ではなく車道でゴミを払う。

おじさんと犬はそろりそろりと歩き出す。
僕はこっそり探偵気分で後をつけた。

って、後をつける間もなく、
彼らは裏手のすぐ近くのマンションの入口に消えていった。

家あるんか?
しかも中心街のど真ん中に?
なんで物乞いしてるん?
その物乞いスタイルを選んだのはどして?
一日の稼ぎいくら?
犬の名前は?
家族は?
腹減った。


尽きない好奇心はあるものの、ひとまず彼らの住まいがわかったことで、
なんだか一安心した僕は、上機嫌で家路についた。

今度は話しかけてみようかと思う。
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by chikara_mikado | 2007-11-07 05:41 | チェコのこと
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