勝訴 その1

3月7日(金)、Prague Public Transit Companyこと(プラハ公共交通公社)から
一通の手紙が届いた。

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親愛なる紳士淑女様

2008年1月7日、我々は自動券売機PID473号に対する貴方の申し立てが
正当であることを認め、100kcの郵便振り替えを仲介業者を通じてお届けします。
機械の誤作動によりご迷惑をお掛けしたことをもう一度お詫び申し上げます。

草々

Vaclav Kudrna



1月7日のプラハは雪であった。
その日の午前中、僕は駅員と口論していたんだ。

一日券の切符を買おうと券売機にコインを入れ、まさに全て入れ終わったその瞬間、

「ブーッ、カシャッ」

と音がして、何かがデジタルで表示されたんだ。


「THIS MACHINE IS OUT OF CONTROL ( ´_ゝ`)」

「・・・」


おいおいおいおいおいおいおいおいおい。
これは何の冗談だ?
何の演出だ?
誰の貯金箱なんだ?
しかも、なぜ全部のコインを入れ終わった後なんだ?
遠隔なのか?

と、あまりのナイスタイミングに吹き出し、そして怒りが頭を3周した。
そもそも普段は定期券の僕が、
なんで一日券なんか買おうとしてたのかってことから、この話は始まる。


2008年1月1日から、プラハの公共交通料金が値上がりした。
いつ導入するかもわからないユーロを念頭においてなのか、
庶民を苛めてるだけなのかは知らないが、結構な値上げだと思う。
また、チケットの種類も変更となった。

プラハには、バス・トラム・メトロ(地下鉄)の交通機関があり、
チケットはすべて共通である。

2007年は、

チョイ乗り:14kc(短い区間を限定的に乗るためのもの)
基本券:20kc(最も使用頻度の高い75分乗り放題チケット)
1日券:80kc
3日券:220kc
7日券:280kc
15日券:320kc

だったのが、2008年になると・・・

チョイ乗り:18kc
ベーシック:26kc
1日券:100kc
3日券:330kc
5日券:500kc

3日券と5日券に何があった・・?
確かに、以前は安すぎる感があったが、いきなりこれはないでしょ。
中長期旅行者からどんだけボッタクルつもりよ。

値上げラッシュは、交通料金だけに限らず多分野に渡り、
冬場なのに僕はしょっちゅうかき氷食べたあとみたいになってたわけだ。

そんな1月5日、当たり前のように唐突に僕の定期券は息を引き取った。
あまりに静かすぎて全然気が付かなかった。

気が付いたのは2日後、例の1月7日だ。

大学に用事があった僕は、雪が降っているにも拘らず朝早くに家を出た。
諸々の打ち合わせや確認を済ませた後、定期を買うべく
大学近くのMustek駅に向かったんだ。

この時点で、たかが定期券を手に入れるのがあんなにも難しいとは思わなかった。

僕の前には10人ほど並んでいる。
この国では「並んで待つ」ということは、「溜息をつく」ほどによくあることで、
ちょっとやそっとじゃ誰も不平不満を漏らすことはない。

30分ほど待った後、係のおっさんに
以前と同じように3か月の学生定期が欲しいと伝えた。

僕の国際学生証を受け取ると、型遅れのコンピューターに読み取り、
以前の価格の倍額を請求してきた。


僕:「ちょ、いくらなんでも高くないかい。オイラ学生よ。」

おっさん:「ふーむ、カードを見るに学生っぽいけど、よくわからん。
      コンピューターがこうだと言ってるんだから、この値段だよ。」

僕:「っぽいんじゃなくて、学生だって。」

おっさん:「いやいや、違うみたいよ」

僕:「だってこれほら、プラハの大学の学生証。」

おっさん:「しかしコンピューターが!コンピューターが!コンピューターが!」

僕:「じゃとりあえず、やめとくわ。カード返して。」

おっさん:「しかしコン・・」

僕:「カエシテ。」


なぜか、以前と同じ定期を買うことは許されない様子。
確かに値上げ政策による多少の価格上昇は予測していたが、
いきなり倍額はおかしい。はて。

嫌な予感がする。踏まれて汚れて溶けた雪が靴に染み込んできそうだ。
大学に戻って、学生課の職員に相談すると交通機関のHPを調べてくれた。

職:「学生もしくは26歳まで、ってなってるわよ」

そうなのだ。

学生であっても年齢制限に引っ掛かる場合は一般料金になるのだ。
しかし、この時点で2週間ばかり前に26歳になった僕としては、
「26歳まで」というのが"25の間"だけなのか"26もOK"なのか、
非常に気なるところであった。

そして、もう一つ嫌なことが発覚した。
外国人が長期の定期券を買うには、顔写真とパスポートが必要なんですと。

しかも本家。

この悪天候のなか、あの田舎にある自宅まで引き返すのかと思うと、
あまりのストレスで目の前がチカチカした。

いや、雪が降ってた。


さて、自宅に戻るためにはチケットが必要。
験担ぎも兼ねて、今度はNarodni trida駅から帰ることにした。

念には念をいれ、値段の設定上3回よりも多く乗車するなら元が取れる
1日券を買うことに決めたのである。


つづく。
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by chikara_mikado | 2008-03-08 20:21 | チェコのこと
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