勝訴 その2

前回までのあらすじ:

「ブーッ、ガシャッ」

「OUT OF CONTROL, HAHAHA!」

(おいおい、ふざけんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ。)

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というわけで、券売機の裏手にあるオフィスの窓口に話をつけに行く。
ここのおっさんは腹が出ていた。ビールっ腹に違いない。


僕:「あのー、今切符を買おうとしてお金を入れたら、機械が閉まっちゃったんですけど。」

腹お:「ハァ?」

僕:「いいですか。切符を買おうとして、お金を入れたら、機械が閉じた、ってわけなんです。」

腹お:「ん?おぉ、それで?」

僕:「いやだから、お金返してほしいんですけど。」

腹お:「ここにはお金はないよ」

僕:「え、いや、ちょっと。困りますよ。」

腹お:「何番の券売機?」

僕:「見てきます。」

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僕:「PID473番です。」

腹お:「ふーん。じゃここに名前と住所書いて。」

僕:「なんでですか?今ここで返してくれればいいだけでしょう。
   僕は事実、お金を入れてるんですよ。彼が証人です。」

僕は、後ろに並んでいた青年に頼んで窓口まで一緒に来てもらっていた。

青:「確かにそこの人、買ってたよ」

僕:「ほら。返してくださいよ。」

腹お:「ここにお金はないんだ!」

(んなばかな)

青:「俺用事あるから帰るわ、グッドラック。」

僕:「ちょっ・・。ま、いいや、金返してくれ。あんまり時間がないんです。」

腹お:「無いモノは無い。それに、僕たちは雇われてここにいるんだ。
    文句があるなら上層部に伝えてくれ。」

僕:「ゴゥルァァァァァァァァ」

女:「どうしたんですか?」

僕:「カクカクシカジカ」

女:「[@\^-]:;\/,[@[p-\^;:..\」

腹お:「[@p^-\ohlplhp@okio\@--p\/.,」

女:「ここには本当にお金がないんだって。
   このカードの所に電話するのがよさそうよ。」

僕:「おいおい。いい加減にしてくれよ。いったいどうしろってんだ。」

女:「あなたは神を信じる?」

僕:「・・・、いや今はムリ。」

女:(悲しそうな顔をして)「そう、じゃあね。グッドラック。」

僕:「ハァー・・」(あぁ、八当たりをしてごめんよ、お姉さん。)



渡されたカードを見ると、そこにはPrague Public Transit Companyのinfolineとある。

(腹おの奴、俺をたらい回しにする気か!)

僕:「もしもし。今、Narodni trida駅で切符を買おうとしたら・・カクシカ」

info:「その案件なら、こっちの番号ですね。掛けてみてください。」

(キタキタ。案の定盥回しね。とことん付き合っちゃうよ、ボク。)

僕:「もしもし、カクシカ。」

info2:「^\j@j@ghlg^hj:k\??????」

(チェ、チェコ語オンリーか・・。ふざけおって。)

僕:「あのさぁ、どうなってんの?問題解決に対して全く前向きさを感じられないよ。」

info:「そんなことありません!」

(ブラブラブラと長いアピールが続く)

僕: 「で、どうしたらいいわけ?どうしてくれるわけ?」

info: 「駅の窓口で名前と住所を書いてください。調査の上、1~2ヶ月後返信致します。」

僕:「調査て、、2か月て、、 ( ゚д゚)ポカーン」

(もういいや。名前書いて住所書いて終わりにしよう。)
(家帰ってパスポート取って来て、定期買わねば。)

僕:「名前と住所書きます。ペン貸して下さい。」

腹お:「プイッ」

僕:「もういい加減にしろ」

通りすがりのお婆さん:「どうしたの?」

僕:「カクシカカクシカ」

通婆:「そらー、あんたね。絶対に戻ってこないよ。
    アタシャ、ここでの暮らしは長いけどね、そりゃ無理だよ。」

僕:「・・・、もういいんです。戻って来ようが戻らまいが。
   できるだけのことはしておこうかと。」

通婆:「偉いわね。アタシだったらすぐに諦めちゃうわ。」

通婆:「[@pu\^-089@lp/:\/.[;p@\」

腹お: (すごく嫌そうな顔で) 「どうぞ」

僕: (こいつ・・)「書いたぞ。どうすんだ?」

腹お:「調査報告が送られてくるんじゃない?」

(なぜ、疑問形?まぁもう、期待しないで待ってるよ。)


というわけで、もうダメ元で名前と住所と金額を書いたわけ。
そう。金額はたかだか100kc(600円くらい)。

もう金額の問題じゃなくなってた。
負けず嫌いの根性がもう前面どころか全面に出てた。
やり場のない怒りと徒労感で白髪が増えた。
俺の周り、半径3センチくらいは雪も溶けていただろう。

一応、1月7日のその後のことを書いておこうかと思う。

1時間かけて家に戻り、家の最寄駅でまた並んだ。
30分ほど待ったところで、窓口のブラインドが唐突に降りた。
周りの人に聞いても、皆意味がわからない。

なのに、並んでる。
そうか、ここの人達は並ぶのは得意だったか。

再開する気配の無さに泣きそうになった僕は、
プラハ中央の大きな駅に場所を移し、もう一度窓口に並ぶことにした。

待ってる人数、およそ50人ほど。
最後尾が見えない。

たっぷり3時間近く並んで、ようやく念願の代物を手に入れる。
一年間の定期だ。これで当分、並びからは解放される。

僕が定期を手にしたその瞬間、ここの窓口のブラインドも落ちた。
これは中の人の都合で唐突に起こり、いつまた窓口が再開するのかがわからないという、
長時間並んで待っていたことを嘲うかのような、非人道的行為なのだ。
就業時間みたいな概念は、この日のプラハには皆無であった。

後ろのおばさんは、泣き出しそうだった。
まるで、まな板の上で蜂に刺されて泣きそうな鯉の胃袋にいるタニシみたいな顔だった。

そう、この日僕は朝9時に家を出て、「定期を買うってこと」だけを目標に一日を過ごした。
定期を手にしたのは午後7時を過ぎていた。
ま、定期の話はメインじゃないんでこのぐらいにして・・





そして、冒頭の手紙が届く。
あれから2か月が経とうとしている。

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たまに思い出すことはあっても、深くは考えず流していた。
正直忘れていた。

しかし手紙の内容は、こちらの言い分を完全に認め、
謝罪の言葉とお金を返す旨がしっかりと綴られている。

なんて清々しいんだ。
安堵と歓喜に包まれた僕が、ふと考えたのは・・

手紙にはそう書いてあるのに、実際のお金はまだ手元に戻っていない。
まだ闘いは続く・・のか?

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by chikara_mikado | 2008-03-12 09:37 | チェコのこと
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