女心と春の空

プラハに来て半年が過ぎた。

初めて超えたヨーロッパの冬は思いのほか厳しく、
何度か風邪をひき、灰色の空のお陰で光合成不足であった。

3月を迎え、しばしば気持ちの良い日差しと穏やかな風が吹く
暖かい日が訪れるようになった。

芳しくなかった調子もつられて、復調の兆しを見せている。


突如、


風は手のひらを返したように冷たくなり、
雲は日を隠し、雨を落とし始め、
やがて、雪となり、時に雹となる。

しかしその怒りも束の間、すぐに元通り。
優しい世界が帰ってくる。

面白いことに、この過程は混ぜこぜにやってくるのだ。

暖かい陽気の中、酷く冷たい風が吹き、
すごい勢いで前方から雨が近づいてきたり、
強い日差しの中、雪がちらつく。

雪は勢いを増し、ほほを打つ。
目を閉じてじっとしていると、いつしか太陽が戻ってきている。

飴と鞭を繰り返す日も多い。
女に振り回される男の如く、天気に振り回され、
一喜一憂する僕は、チェコ人から教わったことがある。


この激しい天気の移ろいは、”嘘みたいな天気”ということで

「Aprílové počasí」 (April Fool's Weather : 四月バカの天気)

と呼ばれ、毎年この時期に必ず訪れるらしい。
この時期が明けないと、本当の春はやってこないと言う。

彼らは春の為に、この天気と折り合いをつけ、長年付き合ってきているのだ。
突然現れる降雪の日々は、いつしか消えていく。
そうして、ようやく花々が安心して咲けるのだ。


そこまで来ている春の足音に、ふと梅雨明けの夏の匂いを思い出した僕は、
海の風がないチェコで無性に懐かしさを感じた。

こういう日は、やけにお腹がすく。

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by chikara_mikado | 2008-03-29 11:36 | チェコのこと
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