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陰謀

あと3日でやってくる。


まだ肌寒い朝、家を出て不意に考え始めた途端、
そこに着くまで他のことは頭に思い浮かばなかった。
両肩に食い込む重みなどまったく苦にならなかった。

そして毎回、当然のように現実が襲いかかってきたんだ。
なんも気づかないノーテンキなやつも、自作自演のやつも、
上履き隠されて喚いてるやつもいた。

周りの喧騒がやけに遠く聞こえる。
下駄箱で立ちすくむ僕。

ふと我に返り、ランドセルを教室に投げ込むと
朝礼までの間、手打ち野球に没頭するのであった。

そんな小学生だった。


今年もまた、お菓子会社の巨大な陰謀がやってくる。





せっかくここまで逃げて来たってのに、
遥か1万キロを旅してきたっていうのに、

なんだって同居人の野郎は、

「ヘイ!日本にはヴァレンタインデーにチョコレート貰えるんだって?」

とか聞くかな。

あの絶望感を味わって立ち直れないほどに燃え尽き、灰になればいいのに。
そしたらそっと吹いてやるよ、窓の外へ。





とはいえ、プラハの日本人社会に溶け込んでいるわけですから、
若干ナーバスになるのは当たり前のこと。

TESCOでいつも通りチェコを買うのにも、辺りを見回す始末。

「別に、ただ単に、食べたいから買ってるだけで、うん。」
「おいしいよね、これね、もう1個、買っておこうかな、うん。」

右見て、左見て、もっかい右見て、光の速さでベーコンの下に隠す。
過剰なまでの隠蔽工作。雑誌に挟んだエロ本のようだ。

外に出ると、日が沈もうとしている。
あぁ、家に帰らなくちゃ。

1週間くらい前から優しくなる分かり易さ、
下駄箱を開けるあの瞬間のドキドキ、学校にいる間のあの絶妙な空気感、
男どもの落ち着きのなさ、下校までが勝負ですの粘り、
放課後意味もなく居残ってみるしぶとさ、全てが懐かしい。





ところで、

「日本には5円で買えるお菓子があるんだぜ!その名も5円チョコだぜ!」

と教えてやったら、目ん玉ひんむいて咽てたけどな。
黒パンが気管支に入ったんだろうな。

当然ながら、チェコ人の間に日本的なバレンタインやり取りは存在しない。

手作りとチロルチョコを例にとって、本命と義理の二本立てシステムであること、
海老で鯛を釣る方式(ホワイトデーの説明もした)、
見かねた家族や近所のおばちゃんからの差し入れ的形式、

色んな愛の形を説明したやったら、

「お前のために下駄箱に蓋付けてやろうか?」と言われた。





いらねぇよ、ぼけ。
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by chikara_mikado | 2009-02-11 08:35 | 雑記